ひかり味噌の寒仕込み

職人技を継承する年に一度の「寒仕込み」

寒仕込みとは、前年の秋に収穫した新穀大豆と米を原料とし、1月の寒の内(小寒の日から節分までの約30日間)に行う伝統的な味噌づくりの手法を用いた味噌の仕込みです。寒さが厳しいこの時期は、空気中の雑菌が少なく仕込みに最も適しているといわれています。また、ゆっくりと時間をかけて発酵させた天然醸造味噌は、深みのある味わいに仕上がり格別ともいわれます。

近年、味噌づくりの現場では大量生産における品質安定のため、作業の機械化や温度コントロールによる熟成管理などの合理化が進んでいます。そのような状況の中、ひかり味噌では年に1度、伝統的な手法を用いて味噌の醸造を行う「寒仕込み」を実施し、長年培ってきた醸造技術や味噌づくりの精神をあらためて体感するとともに次世代へ継承しています。
寒仕込みでは、工場敷地内にある技の神を祀る京都の松尾大社に由来する社へ、味噌づくりの無事とおいしい仕上がりを祈願します。

みそ玉づくり

蒸煮した国産大豆をつぶして手のひら大の玉にするみそ玉づくりを、仕込みの数日前に行います。大豆が温かいうちに丸めて、みそ玉の内部で味噌づくりに欠かせない乳酸菌を生成します。大豆は「味噌のための大豆」として初めて品種登録された「トヨハルカ」を使用しています。

麹づくり

甘みの強い国産米を贅沢に使い、二晩かけて麹をつくります。米の状態、麹菌の働き具合を職人がこれまでの経験を頼りに見守ります。

仕込み

蒸煮した国産大豆、国産米を使用した米麹、国産塩を混合し、さらにみそ玉を少しずつ加えて味噌を仕込みます。その後、タンク内の味噌が均一に発酵するように、空気を抜くために人が足で踏みならします。2トンタンクいっぱいの味噌を踏み続ける根気と体力のいる作業となります。

天然醸造

通常は、仕込んだ味噌を適温に加温して微生物が活動しやすい環境をつくり発酵を促しますが、天然醸造では自然の力にまかせ、人の手を掛けずにじっくりと発酵させていきます。夏の土用の頃に天地返しを行い、味噌の中の微生物を空気に触れさせ発酵を促進させます。通常はこの頃に商品化できますが、寒仕込みの味噌はさらに熟成させ、まろやかで深みのある味わいを引き出します。

手詰め

通常は機械充填が主であるのに対し、寒仕込みの味噌は職人の手で容器に詰められます。糀の甘みや奥深い風味をお楽しみいただくために糀を潰さぬよう、職人が一つ一つていねいに手作業で詰めています。
一寒一暑を経てじっくりと天然醸造させた寒仕込みの味噌は、うま味があり、塩角が取れ、味わい深く仕上がります。年に1度だけ仕込まれる数量限定品として、長年ご好評いただいています。

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