バランスは歩いてこない。
1日1歩、PFC バランスを道しるべに-前編-

バランスの取れた食事、質の高い睡眠、適度な運動習慣......1日1歩、健康への道を歩いていきたいですよね。
私たちの心身は、日々の選択や小さな習慣の積み重ねの末に、今の自分へとたどり着いています。頑張ったご褒美に選んだスイーツは、今の自分を幸福にしてくれる一方で、未来の自分のカラダに、あまり嬉しくない「置き土産」を残すかもしれません。
今の、そして未来の私たちに必要なものは何なのか。3歩進んで2歩下がる前に、少し立ち止まって、まずは食の視点から考えてみませんか。

食卓の画像

PFC バランス~名前は新しくても、考え方は昔から~

「PFC バランス」という言葉を最近よく耳にしますよね。食生活の指針にされている方もいるかと思いますが、興味はあるものの、「どう取り組めばよいのか分からない」と感じている方も少なくないのではないでしょうか。
そもそもPFC バランスとは、1日の総摂取カロリーにおける、たんぱく質(Protein)・脂質(Fat)・炭水化物(Carbohydrate)の三大栄養素の摂り方のバランスを示す考え方で、各単語の頭文字を取った言葉です。この言葉自体は日本の公的基準で正式に使われている名称ではありません。厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準※1」の中で、同じ考え方を「エネルギー産生栄養素バランス※2」として示しています。「PFC バランス」は最近の流行というよりも、以前から示されてきた栄養についての考え方を、私たちに分かりやすい言葉で言い換えたものと言えるでしょう。

PFC バランスは、あなたのための「道しるべ」

PFC バランスについて、次は実践編です。とはいえ、先ほど述べたように栄養や食についてなるべく分かりやすくまとめたのがPFC バランスです。
難しく考えずに、あなたのカラダに必要な栄養の「道しるべ」となるようお使いください。

ステップ① 1日に必要な摂取カロリーを知ろう

何もせず、安静にしているだけでも生命維持(呼吸・心臓の拍動・体温維持など)にカロリーが消費されているのをご存じですか?それを「基礎代謝」と呼びます。そして、私たちは「基礎代謝」に加え、日常生活でさまざまな活動を営むことでさらにカロリーを消費しています。これを「身体活動レベル」といい、活動量は人によって異なるため、どれくらい身体活動しているかを、低い、ふつう、高いの3つのレベルで判断できるようになっています。これらを踏まえて、「基礎代謝×身体活動レベル=1 日に必要な摂取カロリー」となります。PFC バランスを計算する前に、まずは自分に合った摂取カロリーの把握が重要です。ご自身が必要な摂取カロリーがどの程度なのか、性別、年齢、身体活動レベルを当てはめながら以下の早見表を目安にご確認ください。

性・年齢別摂取カロリー早見表(kcal/日)
性別 男性 女性
身体活動レベル 低い ふつう 高い 低い ふつう 高い
18〜29(歳) 2,250 2,600 3,000 1,700 1,950 2,250
30〜49(歳) 2,350 2,750 3,150 1,750 2,050 2,350
50〜64(歳) 2,250 2,650 3,000 1,700 1,950 2,250
65〜74(歳) 2,100 2,350 2,650 1,650 1,850 2,050
※健康な成人を前提とした値であり、妊産婦・授乳婦・小児・疾病時は適用できない場合があります。
摂取カロリー量を正確に知りたい方

ご自身の摂取カロリーを正確に知りたい!という方は紙、ペン、電卓をご用意いただき、下記の式で計算してみましょう。摂取カロリーを知るために必要なのが、基礎代謝と身体活動レベル。性別、年齢、身⻑、体重から計算し、出た基礎代謝に身体活動レベルをかけます。順を追って計算してみましょう。

基礎代謝を計算する式(国立健康・栄養研究所の式)

男性
基礎代謝= (0.0481×体重㎏+0.0234×身⻑㎝−0.0138×年齢−0.4235)×1000÷4.186

女性
基礎代謝= (0.0481×体重㎏+0.0234×身⻑㎝−0.0138×年齢−0.9708)×1000÷4.186

身体活動レベル

身体活動レベル表
身体活動レベル
(カテゴリー)
低い ふつう 高い
身体活動レベル 1.50 1.75 2.00
身体活動レベル判断目安 日常生活で座ったままほとんど動かない 日常生活では座り仕事中心+少し立ち仕事あり
通勤・家事・趣味等で軽い運動をする程度
日常生活では立ち仕事や移動が多い
活発に身体を動かす趣味や運動習慣がある

例:女性40歳、身体活動レベル「ふつう」の場合

基礎代謝

(0.0481×54 ㎏+0.0234×158 ㎝ − 0.0138×40 歳
−0.9708)×1000÷4.186=1139.9kcal
→ 約1,140kcal が基礎代謝

摂取カロリー

基礎代謝(1140kcal)×身体活動レベルふつう(1.75)=1,995kcal
約2,000kcal が摂取カロリー

例:女性40 歳、身体活動レベル「ふつう」の場合

ステップ② PFC バランスを計算しよう

摂取カロリーが分かったら、本命のPFC バランスを計算してみましょう。
PFC バランスとは、摂取カロリーをP(たんぱく質)・F(脂質)・C(炭水化物)にバランスよく配分する考え方です。
理想的なPFCの割合を「PFC バランス表」にまとめているので、参考にしながらご自身の摂取カロリーに当てはめてみましょう。
1点注意したいのは、PFCはそれぞれ1gあたりのカロリーが異なるという点です。
例えば、たんぱく質と脂質は同じ20gでも、カロリーには差が生じます。栄養成分表示を見る際には、この点に注意しましょう。

PFC バランス表
栄養素 摂取カロリーにおける理想的な割合 1gあたり
P(たんぱく質) 13-20% 4kcal
F(脂質) 20-30% 9kcal
C(炭水化物) 50-65% 4kcal

PFC バランスを計算するには、まず摂取カロリーに対するP・F・Cそれぞれの割合(%)を求め、それぞれを各栄養素の1gあたりのカロリーで割ることで、必要な摂取量(g)とカロリーを算出できます。

P(たんぱく質 (g))=摂取カロリー×P(%)÷4
F(脂質 (g))= 摂取カロリー×F(%)÷9
C(炭水化物 (g))= 摂取カロリー×C(%)÷4

例:摂取カロリー2,000kcal、P=20%、F=25%、C=55%の場合
P(たんぱく質 (g)):2,000(kcal)×0.20(%)÷4(kcal)=100g(400kcal)
F(脂質 (g)):2,000(kcal)×0.25(%)÷9(kcal)=約56g(500kcal)
C(炭水化物 (g)):2,000(kcal)×0.55(%)÷4(kcal)=275g(1,100kcal)

ステップ③ 実際の食事を例に計算してみよう

ステップ②で計算したPFC それぞれの合計値を、朝昼晩の3食に振り分けて考えます。

摂取カロリー:2,000kcal
P(たんぱく質)100g、F(脂質)56g、C(炭水化物)275g のメニュー例
朝食 昼食 夕食
メニュー例 ご飯150g、みそ汁(豆腐・わかめ・ねぎ)、目玉焼き1個、サラダ、納豆1パック ミートソーススパゲティ、サラダ ご飯150g、みそ汁(なめこ)、鯖の塩焼き、冷や奴、ほうれん草のお浸し
カロリー 550kcal 800kcal 650kcal
P(たんぱく質) 25g 35g 40g
F(脂質) 15g 15g 26g
C(炭水化物) 85g 110g 80g

和食=PFC バランス最強説!?

実際の食事で考えると、気づくことがあります。それは、和食は比較的PFC バランスが取りやすいということ。ご飯やみそ汁、肉・魚・大豆、そして野菜などが組み合わさることで、たんぱく質・脂質・炭水化物のバランスが自然に整いやすくなっています。洋食や中華のメニューは、カロリーや脂質が高くなりがちで、3食すべてを和食以外にすると、どうしてもPFC バランスが取りにくくなります。現代社会は食が豊かになり、自分の好きなもの、食べたいものだけを選択できる世の中です。ですが、バランスよく栄養を摂り、心身ともに満たされた状態を目指すなら、和食に回帰する重要性を実感しています。
とはいえ、仕事や家事など忙しい日々で3食すべて栄養に配慮した食事を用意するのは難しく、毎日続けることが負担になりバランスのとれた食習慣自体を止めてしまうのはもったいないですよね。3食トータルでPFC バランスが満たせれば良いので、まずは1食から、カラダが喜ぶ選択をしてみませんか?気負う必要はありません。例えば、インスタントみそ汁に卵や豆腐を足したり、みそ汁を作る際に肉や野菜をたっぷり入れたりしてもいいですね。特にみそ汁は忙しい日でも、前日の夜に多めに作っておけば、翌朝もバランスの取れた一品を食事に取り入れることができます。外食の際は栄養成分を見てメニューを選んだり、牛乳や豆乳、甘酒など飲み物で足りない栄養を補うのもおすすめです。大切なのは、無理せず続けること。1日1歩、ゆっくり、確実に歩んでいきましょう。

杉村 わかな

筆者プロフィール

ひかり味噌󠄀󠄀株式会社 コーポレートマーケティング本部 マーケティング課杉村 わかな

「食で人々を幸せにしたい」をモットーに、管理栄養士としての専門知識を活かし、食と健康をテーマにしたレシピ開発を行う。
発酵食品としての味噌󠄀󠄀に注目し、その栄養的な特長や文化的な魅力を多くの人に伝えるため、国内外に向けた味噌󠄀󠄀の情報発信に力を入れている。

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