わたしを育てる美容-前編-
土とわたしのつながり
最近、友人たちと畑をシェアしています。植えた種や苗から芽が出て花が咲き、あっという間に収穫の夏がやってきました。畑をのぞきに行きながら、友人と野菜レシピを考えるのも今の小さな楽しみです。
化粧品の開発に携わっていた頃は、耕作放棄地の再生など、自然資源を活かした原料づくりにも関わっていました。大きな循環を生み出す仕事にやりがいを感じ、「美容を通して社会に貢献したい」という思いで働いていました。
けれど森で暮らすようになってからは、その視点が少し変わり、今の私の関心はもっと小さく、目に見えるものよりも、足の下にある「土壌」に向いています。
微生物が豊かな土は、水と空気を蓄え、栄養を循環させ、植物の根をしっかり支えます。畑でも、良い野菜を育てるためには、まず土を育てなければなりません。肥料を与えすぎるとかえって土が冷え、硬くなってしまうこともあるそうです。
そんな土のことを考えていると、ふと人の肌も同じなのではないかと思うのです。
わたしが住む森では野生動物が多く生息し、農作物を育てるとほとんど食べられてしまうため、飲食店を営む友人の畑に参加させてもらっています
肌にも土壌がある
私たちの肌や体には、自然と同じように多種多様な微生物が暮らし、「マイクロバイオーム」と呼ばれる環境をつくっています。
美容液やクリームで栄養を与えることももちろん大切。でも、その前に、肌そのものが健やかな環境であることが、美容成分をきちんと受け取る土台になるのだと思っています。
20代の頃、ロゼマリエ・イプマ著『アロマ&クレイセラピー』を読み、初めてクレイの世界に触れました。その後、RAN KNISHINSKY著『THE CLAY
CURE』で、クレイを内側から取り入れるという考え方にも出会い、自然療法の奥深さに夢中になりました。
クレイセラピーでは、クレイが肌表面の汚れや余分な皮脂を吸着し、毛細血管の血流を促して、肌環境を整えると考えられています。豊富なミネラルを含み、イオンバランスを整える作用があるため、まるで森林浴に行った時のように心まで軽くなる感覚も、私が長く惹かれている理由のひとつです。
初めてクレイパックをした日のことを、今でもよく覚えています。
クレイを水で溶き、ゆっくり練っていると、泥団子を作って遊んだ子どもの頃に戻ったような高揚感がありました。動物は体調不良や怪我の時に、土に体を擦り付けて癒すそうですが、土に触れることは、私たちの奥深くにある野生の部分につながっているのかもしれません。
洗い流したあとの肌は驚くほどなめらかで、手のひらでいつまでも頬をさすりたくなるほど。内側から自然な薔薇色がにじみ、肌そのものが呼吸を始めたような軽やかさを感じて、それ以来、クレイの魅力に夢中になってしまいました。
20代でアロマセラピーを学んでいた時に出会った本。クレイとの出会いはわたしの人生を変えました
私の定番、クレイパック
肌がなんとなく重たく感じたり、くすみが気になる日。また、人前に出る日の朝などに、私はクレイパックをしています。
クレイに少しずつ水を加え、ヨーグルトくらいのやわらかさになるまで混ぜたら、顔全体に2〜3mmほどの厚さでのばします。10分ほど置き、完全に乾き切る前にぬるま湯でやさしく洗い流します。乾燥しやすい方は、キャリアオイルを加えて調整してください。
クレイパックの後は肌が乾燥しやすいため、保湿のゴールデンタイムでもあります。タオルドライをしたらすぐに化粧水をたっぷりと。コットンパックやフェイスマスクで潤いを与えるのがおすすめです。
「良い水・良い泥・良い油」を信条に、
社会貢献の循環作りにも取り組んだ
「NEROLILABotanica(現在のブランド名はNEROLILA)」ディレクター時代、
クレイ好きが高じて一番最初にクレイパックを作りました。
夏の肌と体を内側から整えるレシピを紹介する、後編に続く。
