昔からの米作りを引き継ぎたい。その理由 -前編-

私の会社では、自然農の田んぼで稲作をしており、4年目になります。毎日の水の管理や草刈りなどは、千葉県睦沢町の現地の仲間と一緒に行っています。

  • 皆で行う田植え
  • 共に田んぼをつくる仲間たち
田植え、稲刈りのお手伝いに来てくれた方たちと

 無肥料、無農薬で作っているお米の品種は「亀の尾」という原種に近い品種で、日本酒づくりにも使われることで知られる美味しい品種です。一般的なお米は、糖度や弾力を上げるために、多くの品種改良がされていますが、品種改良されていない「亀の尾」は本来の姿の自然なお米。エネルギーがみなぎっています。
 日本人が何万年も続けてきた米作りを、ちゃんと知っておきたい、そして未来に残したい!と思い、育苗、田植え、稲刈り、脱穀まで、全ての工程を、自分たちで行なっています。地元のお年寄りたちが、地元に伝わるやり方やコツを教えてくれたり、使われなくなった昔の農器具を、納屋から出して譲ってくれました。

各シーズンの作業

 まず、冬の間に竹を切りに行きます。稲を干す「おだがけ」の竹の柵を作るため。「竹は冬に切ると、水分をあまり含まないため、腐りにくく、長持ちするのだ。」と地元のお年寄りに教えてもらいました。特に新月の日は、竹が一番水分を含んでいないためベスト。新月伐採と言います。
 春になったら、保管していたお米を、ぬるま湯に浸して発芽させ、パレットにお米と土をまいて、畑に置いて、毎日水をあげて苗を作ります。
 田植えは昔ながらの、「田定規」という木製の定規を使って苗が等間隔に綺麗に並ぶように植えていきます。
8月末から9月には、いよいよ稲刈りです。刈り取った稲を竹で作った棚(おだ)に逆さに掛け、太陽と風で自然乾燥させる「おだがけ」をします。
数週間経ったら、稲から米粒を外す脱穀作業。昔ながらの「足踏み脱穀機」と「唐箕とうみ」を使って、余計な籾殻や塵を飛ばします。

  • 田定規を使って田植えを行う 田定規を使って田植えを行う
  • おだがけ おだがけ
  • 昔ながらの「足踏み脱穀機」 昔ながらの「足踏み脱穀機」

伝わる地域の知恵を引き継ぐ

 脱穀機も、唐箕とうみも、地域の方たちから譲っていただいたものばかり。地域のお年寄りたちが作業を教えに来てくれたり、立ち寄って見守ってくれたり、手作りおはぎや梅干しなどを差し入れで応援してくれたりもします。田植えや稲刈りの人手が必要な時には、毎年、たくさんの会社のお客さま方に手伝いに来ていただき、体験イベントとして行っています。

体験すると、一瞬で変わる世界線

 田植えは、最初、泥の中に一歩足を踏み入れるのも恐怖でしたが、入ってしまうと、泥の感触がなんとも心地よくて、気持ちがいいのです。思い込んでいた世界は、一瞬で変わります。カエルもアメンボも、タニシさえも可愛らしく、しんと静かな田舎の中で、鳥の声だけを聞きながら、黙々とする田植えは瞑想のよう。終えたときの爽快感、ととのった感覚は最高です。私は、遺伝子のどこかで田植えの感覚を覚えているのか、初めての時から誰からも教わっていないのに、爆速のスピードでできるのが、面白いです。

体験すると、一瞬で変わる世界線 皆で行う田植え

 秋に稲を刈って、竹に干されている風景を見ていると、豊かに満たされるような、懐かしいような気持ちになります。稲刈りを初めてしたという人たちも、多くがそう感じるようです。もしかしたら、私たちが1万年以上にわたり「今年も食糧は大丈夫だ」と安心し、喜びを感じてきた記憶が、遺伝子に刻まれている風景だからかもしれない。そんなことを思ったりします。「農業は苦労ばかりで大変」と世間でよく言われるのを聞きます。きっと飢饉の時は辛く苦しいこともあったでしょうし、生計を立てるためのビジネスとしての農業は、緊張感と重労働で、本当に大変だろうと察します。ただ、私が米作りを少しだけ始めてみて思うのは、なんと圧倒的な「喜び」なのです。

体験すると、一瞬で変わる世界線 稲刈りの様子

「昔からの米作りを引き継ぎたい。その理由」は後編に続く

早坂香須子 Kazuko Hayasaka

筆者プロフィール

マザーアース・ソリューション株式会社代表羽田 賀恵(はだ かえ)

幼少期からのアレルギーや癌を患った経験から、根本的な体質改善に働きかけるアメリカ薬草学やローフード食事法、ホメオパシーディプロマを修得。海外在住時からの長年の自然療法の実践から得た本質的なデトックスの知識を発信していたブログやワークショップが人気を博すなか、2009年にオーガニック・ローチョコレートの製造事業を開始。2013年にクレイのオーガニック・ボディケアブランド「CLAYD(クレイド)」を創業。クレイ100%の入浴剤とクレイを使ったボディケア商品、スパを展開している。

website instagram

人気の記事一覧


他の記事をみる

ページトップへ