色鮮やかな春野菜と一緒に食べる
タイの白ワイン蒸し
進級や進学、就職など、春は新しい生活を始める人の多い季節。 日を追うごとに気候もよくなり、なぜか心浮き立つような、そんな気持ちになる人も多いのではないでしょうか? 管理栄養士であり調理指導師協会会長を務める堀知佐子先生の提案は、そういった軽やかな気持ちをより引き立てるような、華やかなお料理。 春の食材を使って心がぱっと明るくなるようなお皿をご紹介いただきました。
〝季節もの〞として食されてきた春のマダイ
スーパーマーケットの店頭に数多くの魚が並ぶ中、なんといっても圧倒的な存在感を放つのは「タイ」でしょう。 タイの種類は非常に豊富ですが、今回堀先生が選んだのは、春に旬を迎える「マダイ」です。 「この時期に捕れるマダイは〝桜鯛〞と呼ばれ、古くから珍重されてきました。 元来、日本人は〝赤〞を好む民族で、祝い事の席には赤い色のものが付き物です。 春は桜が芽吹いたり、新しい生活が始まったりと、お正月とは違うめでたさがあります。 そういった背景から、春のマダイは〝季節もの〞として食されてきたのです」
高たんぱくかつ低脂肪の身質にほどよい脂が加わりうまみが増す
旬を迎えると栄養価が高まるのはどのような食材にも当てはまることですが、旬の魚類の醍醐味はなんといっても「脂」です。 白身の魚であるマダイの魅力は高たんぱくかつ低脂肪のあっさりとした身質ですが、春のマダイはそこにほどよい脂が加わり、うまみを増します。 せっかく脂を味わうのであれば、養殖ではなく、ぜひ天然ものを選ぶとよいでしょう。 そのほか、パントテン酸をはじめとするビタミンB群や、骨づくりに関わり、最近ではインフルエンザに対する効果も期待されているビタミンDなど、 栄養価も豊富です。ヒレなど、よく動かす部分にはフィッシュコラーゲンも含まれていますから、特に女性は積極的に食べたい魚です。
鮮度の見極めのポイントは目
丸ごとのマダイを購入する際、鮮度の見極めのポイントは目にあります。 目が澄んでいることはもちろんですが、目の上にアイシャドウのような青い帯があるものが新鮮な証拠。 切り身であれば、身が透明で、ドリップが少ないものを選びましょう。
魚料理は食材にダメージが少ない蒸しがおすすめ
魚を加熱調理するのであれば、焼いたり揚げたりするよりも蒸すのがおすすめ、と堀先生はいいます。 「強い加熱による調理は、食材に対するダメージが大きくなります。 加熱により、魚の脂が酸化してしまい、魚類に多く含まれるDHAやEPAといった脂肪酸の損失が激しくなってしまうのです。 弱い加熱で時間をかけてゆっくりと火を通せば、栄養価の損失も最低限で済み、ふっくらとやわらかく仕上がります」
ソースは色鮮やかなパプリカ
味噌の黄色とパプリカの赤、色鮮やかな2色のソースは見た目も楽しく、食欲をかき立てます。 また、レモン汁の酸味がきいた味噌のソースとパプリカの甘みとの味のコントラストは、淡白なマダイにアクセントをつけながら、最後まで飽きずに食べることができます。 ソースに使う味噌は、マダイの繊細な味わいを損なわないよう、くせのないやさしい口当たりのものを選びましょう。
このお料理には、白めの味噌を使用します。味噌味の魚料理、といえば赤味噌を使ったサバの味噌煮などが一般的ですが、 淡白で繊細なタイの味わいを生かすため、味噌は主張が控えめでやさしい甘みがあり、くせのないものを選びましょう。 赤パプリカは、黒くなるまで皮を焼くと甘みが立ちます。
【レシピ】タイの白ワイン蒸し
味噌とオリーブオイル、赤パプリカの2種のソース
材料 2人分
- マダイ切り身 2枚
- 胡椒 少々
- 白ワイン 50㏄
- アスパラガス 6本
- 赤パプリカ 1/2個
- 玉葱みじん切り 10g
- 刻みパセリ 少々 A
- 麹の花 無添加オーガニック味噌 20g
- オリーブオイル 30㏄
- レモン汁 15㏄
作り方
- アスパラガスは固い部分を切り落として半分に切る。穂先の方はさらに半分に切り、ともに下ゆでしておく
- タイは皮目に熱湯をかけてうろこや汚れを洗い流し、水気を拭く
- 2を耐熱容器に入れて胡椒を振り、白ワインをかけてラップをし、レンジの出力弱(300w)で7~8分加熱する
- A をよく合わせておく
- 赤パプリカは皮を焼いてむき、種を取り、玉葱のみじん切りと一緒にミキサーにかける
- 皿に長い方のアスパラガスを並べ、その上にタイを置く。4、5のソースを飾りつけ、短い方のアスパラガスを盛り付けて刻んだパセリを振る
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